
そういう意味では、時には焼酎を傾けたり、時には焼鳥屋でということ、時には正式の懇談会もいいのでありますけれども、そういうフォーマル、インフォーマルの両面にわたった地域の方々とのコミュニケーションの場からニーズを発掘していくということの重要性、これは幾ら言っても切りがないくらい重要であろうと思います。 次は、そういうニーズの把握が終わりましたら、「ジャンルと、テーマと、演目と、スタッフとキャストの検討」ということでございます。 「検討のめやす」としては、いつも小学校や中学校の学芸会レベルで、終ってしまうのでは、これもまた見た方々が「何だあれ」となるわけでございますから、ある程度の芸術性もまた長い目でみれば必要です。 それから、どれだけ多くの方々に感動を与えることができるかということも大切な観点です。 さらに、地域の風土や歴史や人々の価値観の実態にどうかかわっているかということも重要な問題ですね。 4番目、しかも今日的なテーマか。 5番目、自分のホールの条件に合うかどうか。 6番目は、本当に住民参加型か。住民参加といってもいろいろあるわけでございます。場合によっては、住民の方々が観客として参加するということだって、時にはあるわけでございますけれども、それは置いても、何らかの形で住民の方々が全員参加しているというようなことも含めて考えたいと思います。 これは実例でもあるわけでございまして、岐阜県の加子母村で「ネオリアル歌舞伎」という、渡辺美佐子さんを中心としたグループの歌舞伎公演をする際に、加子母村に出かけていきまして、地元の方々と共同創造をしているわけでございます。 この加子母村というのは人口が3500か4000くらいでしょうか。明治27年に明治座という芝居小屋ができているんですが、当時、他に幾つかの芝居小屋があったそうです。ところが、日本国政府は簡単に芝居小屋を建てることすら許さなかったそうですね。そこで、知恵を絞って「日清戦争を記念して」ということで、それならいいということで建てたそうです。今にしては考えられないことでありますけれども、しかし、明治座というのは、時代を超え、歴史を超えて、その地域の方々の芸術への情熱からでき上がった、そういう芝居小屋のようでございます。現在、この村には明治座しか残っていないんですが、明治座保護会という村民の方々の自主的な組織によって守っているんですね。決して役場が守っ
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